行政調査報告
◇平成16年11月9日(火)〜11日(木)
◇自民党市議団有志
◇石川孝文
■はじめに
自民党市議団の細井敏彦議員とともに南明治地区土地区画整理事業におけるまちづくりに対する調査研究として花ノ木まちづくり協議会の役員と平成16年11月9日(火)から11日(木)にかけて鹿児島県姶良郡隼人町と熊本県八代市と熊本県熊本市を先進地として調査を行った。特に姶良郡隼人町では、浜之市地区区画整理事業について、八代市では、球摩川駅地区土地区画整理事業について、熊本県熊本市では、熊本県庁のユニバーサルデザインのまちづくりについて勉強した。
1.浜之市地区区画整理事業(鹿児島市姶良郡隼人町)
1-1.浜之市地区区画整理事業
11月9日午前、隼人町役場に到着し、区画整理課の迫間課長、崎田係長より説明を受けた。隼人町は、人口37,000人で鹿児島市のちょうど中央に位置する町であるが、ここで行われている浜之市地区区画整理事業は、南明治地区土地区画整理事業と同様の既成市街地における土地区画整理事業であり、住宅市街地総合整備事業(旧密集市街地整備促進事業)も行っている。

区画整理課迫間課長より浜之市地区区画整理事業につ いて説明を受ける。
この浜之市地区区画整理事業は、南明治地区土地区画整理事業と比較すると、施行地区の面積は、18.7ha、移転家屋数342戸と南明治地区の25.2ha、約473戸(密住対象含まず)と少し小規模がである。15年度末の進捗状況は、家屋移転率で11.4%(39戸)、事業ベースで16.08%である。ここでの特徴は、過小住宅の下限を約55坪とし、必ずこの面積は、確保するという方針で進められた。持ち家がほとんどで面積も大きいのだろう。南明治地区とは、比較にならないと感じた。立替促進を図るために共同立替をまず進めたとのことだ。商店街については、商業集積などの議論を行なったが、総論として賛成の意見が多かったが、高齢化や後継者不足等難しい問題を抱え、多くの商店は、元の土地近くに戻った。やはり、如何に商店街を再構築するかが課題だ。
1-2.浜之市住宅市街地総合整備事業
次に全員で調査のため、現地の視察を行った。道路等建設され、建物の移転が進んでいた。非常に興味のある浜之市地区住宅市街地総合整備事業についてであるが、施行地区の面積は、12.27ha、事業費約27億円、除去対象建築物171戸で整備計画の大臣承認を平成11年2月2日、事業計画の大臣同意を11年4月6日に受けた。それに対して南明治地区は、施行地区の面積は、16ha、事業費は、約45億円、除去対象建築物は、約220棟である。

隣接する地区外に建設されているコミュニティ住宅
また、ここでの事業の特徴としてコミュニティ住宅の建設地を区画整理地内ではなく、隣接する地区に設けている点だ。地区外に設けることによって密集住宅街に住む人々が事業に先立って移住でき、その地区の建物を除去することが容易にできることで事業の促進を図ることができる。このコミュニティ住宅建設のための用地である5,000uの土地は、国から1/2の補助、建物は、2/3の補助を受けたとのことだ。このコミュニティ住宅は、永住もできるし、仮設で居住することもできる。事業施行期間は、平成10年度から平成20年度、平成15年度末での進捗状況は、除去率13%、23戸、事業費ベースとして33%である。
2.球摩川駅地区土地区画整理事業(熊本県八代市)
2-1.球摩川駅地区土地区画整理事業
二日目、11月10日午後、八代都市計画事業球磨川駅地区土地区画整理事業を調査するため、熊本県八代市役所を訪れた。早速、現地を視察すべく現地事務所に連れて行ってもらい、そこで事業の概要の説明を建設部区画整理課の畑中課長と潮崎係長より受けた。
この土地区画整理事業は、八代市の活性化を図るために重要な意味を持つと考えられる球磨川駅跡地とその周辺を新たな拠点形成地区とするために必要とする公共施設の整備改善、並びに宅地の利用増進を図ることを目的に行われた。この土地区画整理事業には、前日の隼人町の浜之市地区区画整理事業、南明治地区土地区画整理事業と同様の既成市街地における土地区画整理事業であり、住宅市街地総合整備事業(密集市街地整備促進事業)も行っている。さらに、街並み・まちづくり総合支援事業として行われた球磨川駅跡地近くの旧国鉄跡地の利用もあり、旧更生病院の跡地利用計画を抱える安城市と似ていた。区画整理事業の施行地区の面積は、11.3ha、施行期間は、平成3年度から平成19年度、総事業費は、3,873,000千円、権利者数は、195名(内、所有権者191名、借地権者4名)、他借地権者は、56名、建築物戸数は、187戸(棟数193棟)、移転対象家屋数は、108戸である。南明治地区と比較すると若干小規模である。また、経緯として、基本計画承認を平成2年3月22日、都市計画決定を平成3年2月22日、事業計画認可を平成3年12月9日、事業計画公告を平成3年12月12日、実施計画承認を平成5年10月27日に受けた。土地利用状況としては、地区周辺、特に西側には八代市の中心部としての顔を持つ諸施設が立地し、また整備された都市計画道路、土地区画整理事業完了地区が存在するなど、点、線、面の都市的機能を充実するゾーンを形成している。しかし、本地区の球磨川駅のオープンスペース及び旧堤防によって、これを分断した形となってしまっている。そこで、現在の球磨駅跡地に、街並みまちづくり総合支援事業による、公益施設、多目的広場等を設置するための核施設ゾーンを設定し、商業系の土地利用を図るべく計画された。公共施設の整備計画として、都市計画道路、街区公園、地区道路、排水路等を整備した。
2-1.住宅市街地整備総合支援事業(旧密集市街地整備促進事業)
住宅市街地整備総合支援事業について説明を受けた。ここでのコミュニティ住宅は、通常の市営住宅と異なり、球磨川駅地区土地区画整理事業による住宅困窮者を対象に優良な住宅を整備し、居住継続と居住水準の向上を図るととも事業の円滑な推進を図ることを目的として、従前居住者用住宅としてを建設された。

コミュニティ住宅「市営新町 団地」は、オール電化で整備された。
住宅市街地整備総合支援事業について、事業費は、約7億円、事業期間は、平成10年度から平成12年度(平成11年度繰越)である。コミュニティ住宅としては、敷地面積は、2,859u、規模は、地上4階建、24戸(3LDK 16戸、2DK 8戸)、構造は、鉄筋コンクリート造、延べ床面積は、1,809.84u(建築面積 530.78u)、施設の特徴としては、エレベーター、集会所、オール電化設備、バリアフリー等、施工期間は、平成11年12月17日着工、平成12年11月29日竣工(総工費 約4.1億円)、入居開始日は、平成12年12月18日開始となっている。高齢者にも配慮した人に優しいコミュニティ住宅である。
2-3.街並み・まちづくり総合支援事業
2-3-1.地域交流センター建設事業(やつしろハーモニーホール)
街並み・まちづくり総合支援事業の一環として県南地域における文化芸術活動拠点として、また情報発信力のある本格施設として、地域活性化の核となり、市民ニーズに答えるために拠点施設を整備することを目的とした。そこで、地域交流センターの周辺整備を含め、拠点施設として、総事業費、約48億円をかけて整備した。

地域交流センター「やつし ろハーモニーホール」が建設された。
地域交流センター(やつしろハーモニーホール)としては、事業期間は、平成3年度から平成11年度、敷地面積は、約16,602u、建築規模は、地上4階地下1階、構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造、延床面積は、約6,101u(建築面積は、約3,810u)、主な施設として、市民ホール(収容人員500人)、多目的ホール(450u)、大中小会議室、スタジオ・練習室等、建設工事は、平成9年11月25日着工、平成12年3月23日竣工(総工費は、約29億円)である。
2-3-2.多目的広場整備事業
魅力と活力のある新しい街を創出するために、地域交流センターの機能を補完し、21世紀の高度化社会を象徴するシンボル施設広場となることを目的に整備を進めた。「レインボー広場」と名付けられた多目的広場は、総事業費は、約2億円、事業期間は、平成5年度から平成10年度(平成9年度繰越)、広場の面積は、約6,000u、主な施設としては、多目的広場、せせらぎ水路、ウォーターカーテン等が整備された。
3.ユニバーサルデザインのまちづくり(熊本県熊本市)
3-1.熊本駅西土地区画整理事業
最終日の11日午前、熊本県のユニバーサルデザインの勉強に熊本市を訪れた。熊本駅周辺にて区画整理の調査・視察を行うべく熊本県庁に出向く前に熊本市都市整備局熊本駅周辺整備事務所を訪ねて、松尾都市整備局員によって、概要の説明を受けた。本地区は、熊本都市圏における交通結節機能や行政・商業機能強化による「出会いとふれ合いの副都心」と位置づけ、九州新幹線鹿児島ルートやJR鹿児島本線立体交差化に伴い、中心部とこの地区の一体化と広域的都市機能の拠点整備が目的とのことである。区画整理事業の施行地区の面積は、18.1ha、施行期間は、平成13年度から平成28年度、総事業費は、約242億円、権利者数は、377名である。熊本市自体が人口66万人の大都市で南明治地区と比較しても大規模である。また、経緯としては、都市計画決定を平成13年3月30日、事業計画決定を平成13年12月10日、実施計画承認を平成14年1月8日に受け、平成17年度に工事を着工する見通しだ。
3-2.ユニバーサルデザイン
最後の行政調査の訪問地である熊本県庁を訪れた。ここでは、ユニバーサルデザインについて、熊本県土木建築課まちづくり指導係の小路永参事より説明を受けた。熊本県庁では、人に優しいまちづくりをさらに進めた高齢者や身障者だけでなく万人に対して分かりやすく優しい安全で安心なまちづくりを推進するためにユニバーサルデザインを積極的に推進している。

熊本県庁では、建物自体「ユニ バーサルデザイン」で細部にわ たって設計されている。
熊本県のユニバーサルデザインに対する取り組みとしては、平成14年度から「ユニバーサルデザイン建築ガイドライン」の作成が始まり、ユニバーサルデザインの視点で建物づくりをする際に参考となるガイドライン作成した。平成15年度は、県内に幅広く知ってもらうためにユニバーサルデザイン建築ガイドライン研修会の開催し、県下11カ所で建築士等を対象とした普及のための研修会を行った。さらに「既存建築物をユニバーサルデザイン評価マニュアル」の作成し、既存の建物をユニバーサルデザインの視点で評価し、ハード面及びソフト面の改善につなげていくためのマニュアルを作成する。平成16年にも「既存建築物のユニバーサルデザイン評価マニュアル」研修会の開催、普及活動を行い、既存県有施設のユニバーサルデザイン評価を実施した。現在も不特定多数の人が利用する県有施設について、評価マニュアルを活用し、施設管理者による評価を実施中だ。また、熊本県ユニバーサルデザイン建築物整備促進事業として熊本県やさしいまちづくり建築物整備促進事業を拡充し、民間建築物の整備に対する補助を行っている。補助対象としては、@意見聴取に要する費用、Aハートビル法の利用円滑化誘導基準を満たす特定施設等、B条例で定める付加基準や整備基準、Cユニバーサルデザイン建築ガイドラインを参考とした設備である。そして、補助率は、対象経費の2/3を補助する市町村に対して1/2補助、事業者1/3:市町村1/3:県1/3の割合となる。また、昨年は、アートポリス2004とユニバーサルデザイン展の開催を行い、ユニバーサルデザインに対する普及活動を積極的に行っている。
■おわりに
今回は、南明治地区土地区画整理事業におけるまちづくりに対する調査研究として3日間にわたり、鹿児島県姶良郡隼人町と熊本県八代市と熊本県熊本市を先進地として調査を行わせてもらった。隼人町での浜之市地区区画整理事業については、取り分け住宅市街地整備総合支援事業(旧密集市街地整備促進事業)も重点的に調査した。隣接する地区外にコミュニティ住宅を先行して建設することで区画整理を推進することにつながり非常に参考になった。南明治地区もこの考えは、積極的に導入を検討するべきだと思います。八代市では、球摩川駅地区土地区画整理事業と街並み・まちづくり総合支援事業の一体として
の整備手法を学ぶことができた。住宅市街地整備総合支援事業(旧密集市街地整備促進事業)も行われていたし、広域的に見た文化芸術活動拠点、情報発信施設として、地域活性化の核となる拠点施設として整備した地域交流センターを調査することは、更生病院の跡地利用計画の今後を考える上で非常に参考となった。しかし、この時代にあっては、更生病院跡地利用は、すぐ箱物を建設するのではなく、将来像を見極めてじっくりと考えるべきだと考えます。熊本県熊本市では、66万人都市である熊本都市圏における交通結節機能の向上や行政・商業機能の強化をするための熊本駅西土地区画整理事業の説明を受けることができ、碧海市構想を考える上では、参考になった。熊本県庁では、ユニバーサルデザインの説明を受けたが、さすがに女性の知事だけあって、高齢者や身障者だけでなく極め細かく詳細にわたって万人のためのまちづくりを推進しようとしていることがよく分かった。今後の安城におけるまちづくりの参考とし、是非、安城市の施策に取り入れていただくよう働きかけていきたいと思います。
最後に今回の九州の行政調査に当たって私の大学院時代の友人の小路永守君が熊本県庁の土木部建築課に勤務しており、特に熊本県八代市と熊本市でこちらのリクエストに応えるべく事前に調査して情報を提供してくれたことが本当に役に立ち、有意義な行政調査を行なうことができた。今回の調査に参加した細井議員、花ノ木まちづくり協議会の有志の方々に感謝するとともに、熊本県庁の小路永君に心より感謝し、報告とします。