行政調査報告

◇平成17年2月7日(火)〜8日(水)
◇自民党市議団有志          
◇石川孝文                 
                                                      
□はじめに

 平成17年2月7日(火)から8日(水)の両日、安城市自民党市議団の有志10名で大阪府の豊中市と宝塚市にて行政調査を行った。調査の内容は、豊中市は、1.電子自治体の取り組み、2.電子入札制度、3.地区公民会のあり方について、宝塚市は、4.行政改革について、5.市民自治のコミュニティについてである。豊中市は、昨年市街地活性化特別委員会で行政調査していて2度目の訪問となったが、今後の自治体運営としての電子自治体や安城市も導入を決めている電子入札制度なので興味があった。また、宝塚市では、市長自ら説明をしてくれるとのことで非常に楽しみである。

1.電子自治体の取り組みについて(大阪府豊中市)
 豊中市役所にて政策推進部情報政策課の説明を受けた。電子自治体の構築をはじめ、行政が抱える様々な情報化の課題への取り組みを調査することが目的である。平成12年8月にIT基本法の成立を受けて、7市3町で府・市町村情報ネットワーク検討委員会を立ち上げ、同年6月に電子自治体推進会議の設置、平成14年4月には、大阪電子自治体推進協議会が33市10町1村の参加を得て、スタートし、電子申請システムの研究、IT施策調査、様々な情報ネットワークやシステム事業の調査や共同アウトソーシングの推進が検討された。

                

                 豊中市の状況を説明する豊中 市議会事務局長

 豊中市では、平成16年9月に情報化アクションプランが策定され、市民に身近で便利な市役所の実現、市民の信頼に応えられる市役所の実現、地域における情報化の推進が基本目標とした。電子自治体の構築には市民の安心・信頼の確保が不可欠である。このためには、情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底が何よりも優先されるべき緊急の課題であることから、豊中市個人情報保護条例を平成元年4月1日に制定した。情報セキュリティ・マネージメントサイクルの実現のために豊中市データセキュリティ対策基準を平成15年8月に作成した。電子メールの管理方法も課長職に同報しないと送信できないシステムとした。サイバーアタック対策やログオン認証の強化等に努めている。セキュリティ教育・啓発として、(1)職員の情報倫理・情報リテラシーの向上のために@情報研修の実施、セキュリティ研修の実施(年4回)、AOA研修室における職員研修(平成15年は、23講座)Beーラーニング研修(平成16年は、72名)、(2)市民の情報リテラシー向上のために市民情報化支援システム構築のために拠点施設として「エキスタとよなか」も整備した。
 また、電子自治体の政策の一環として、地域コミュニティ再生を目指して豊中市地域安心安全情報システムの構築に努力した。背景としては、大阪府内の同規模程度の市の中で最多の犯罪発生件数が増加し、犯罪発生件数が子どもをねらった犯罪を中心に平成10年度に比べ、1.4倍に増加(平成15年10, 489件)、凶悪犯は25%も増加(20件)、(大阪府内14.9%増加 644件、平成16年1〜5月)や阪神淡路大震災での被災経験と今後の被害発生への不安がある。阪神・淡路大震災では、当市は、死者11人、全壊家屋3,030戸の被害を受け、今後、上町断層地震での被害予測は、死者1,206人、全壊家屋15,107棟、有馬・高槻構造線地震では、死者1,135人、全壊家屋12,745棟が予測された。これら防犯・防災のデータを背景に豊中市では、住民参加型の防犯活動が活発化し、ひったくり犯罪が多発していた阪急服部駅周辺が大阪府警の「ひったくり防止重点地域」5ヶ所のうちの一つに指定され、スーパー防犯灯5ヶ所設置(府警本部と直通)、声の出る看板10枚等を整備した。防災活動基盤の整備として市ホームページに「生活安全マップ(ひったくりマップ)(路上強盗自動車盗マップ)」、「校区コミュニティマップ(原田小学校区住民)」、「防災マップ(避難場所や自主防災機材配置場所等の情報)」等のインターネットGISを使ったマップを掲載した。現在は、実証実験段階であり、実験後の取り組みとしては、さらに改善を進め、本システムの全市展開を図ることにより住民参加による防犯・防災まちづくりを推進したい考えだ。

2.電子入札の導入について(大阪府豊中市)
 次いで電子入札の導入について総務部契約検査室より説明を受けた。電子入札導入の背景としては、平成13年4月に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」が施行され、同年10月、国土交通省、横須賀市などで電子入札が導入された。特に、横須賀市の取り組みは、マスコミにも大きく取り上げられ、入札改革の切り札として全国的に注目された。電子入札導入の趣旨としては、インターネットなどを利用して、時間や場所に制約されることなく「より便利な行政サービスの提供」や「効率的な行政事務」を実現し、地域社会での市民・事業者の活動を支える仕組みづくりとしての電子自治体実現の一環と成り得る。工事等に係る入札・契約手続きの透明性・客観性、競争性の一層の向上と事務の効率化、迅速化、談合等不正行為の防止に資する。システム開発の特徴的な取組みでは、電子入札システムの開発及び運営に係るコストの大幅な削減を図るため、大阪電子自治体推進協議会の電子入札システム事業部会に参加し、本市のほか、高槻市、吹田市、枚方市、寝屋川市、八尾市、羽曳野市の7市共同でシステムの開発・運用を行うこととなった。経過としては、平成15年8月、電子入札のシステム開発に着手し、平成16年8月、7市共同による実証実験、9月にシステム稼働させ、受注者への支援として、操作等の問い合わせに応じるコールセンターを設置し、10月に建設工事の4件で初開札を行った。電子入札システムの開発に当たっては、そのベースとなるシステムに、システムの乱立による受注者側の負担を軽減するため、またシステム開発費の縮減を図るため、国土交通省、財務省、法務省、大阪府、兵庫県、大阪市、川崎市などでも導入している「電子入札コアシステム(複数の公共発注機関に適用可能な凡用性の高い電子入札システム部分)」を採用し、これに使いやすくするための改良を加えた。電子入札コアシステムのICカードが共通で使用でき、電子入札の発注案件、入札結果等の情報をインターネットから提供するシステムを併設した。また、電子入札システムでは業者管理が重要であることから、現在、システムの機能強化として、インターネットから入札参加資格審査申請を受け付けられる「電子申請機能」を開発中である。導入計画としては、平成16年度、予算規模の大きな4件の工事案件で実施した。平成17年度には、予定価格が3000万円以上の案件を対象に実施し、下半期に予算規模の大きな案件の中から試験的に一部で実施する予定だ。工事にかかる設計等の委託業務についても平成18年度から平成20年度にかけて対象を順次拡大し、平成21年度に本格導入を目指するつもりだ。

3.公民館のあり方について(大阪府豊中市)
 豊中市では、社会の動向に即応した公民館活動を行うために、各公民館の下に公民分館を設けた。この公民分館の特徴と求められていることとして、@公民分館は50有余年の実績を有している地域に根ざした市民主体の社会教育機関であり、教育的、自治的、福祉的な活動の中核となりうる底力、いうなれば「分館力」とでもいうようなパワーを有する。A公民分館は地域に開かれた広場であり、個々の分館が地域性、独自性、公共性を大切にしながら、主体的に運用されることが望まれる。B事業がマンネリ化していないか、地域の課題を踏まえた企画となっているか、特定の人や年齢層の利用にとどまらないで、新しい層に働きかけているか等など、役員会や運営委員会において常に点検することが求められる。C分館活動の新しい担い手を発掘し、育成していく。一朝一夕に解決できる課題ではないので、地道に取り組んでいく必要がある。D分館活動をするにあたっては、地域の諸団体、学校、PTAとの連携を図るなど、地域の教育力を高めるための一体となった取り組みが必要である。E分館活動は校学校区を単位にして行われているが、平成12年度からスタートした地域教育協議会は中学校区を単位にして構成されている。また、事業内容によっては複数の分館が共同して実施した方が、より効果的なものもあるので、今後は分館の広域活動という点を視野に入れておかねばならない。といったことである。現在、40の公民分館があり、運営は、豊中市公民館運営審議会に委ねられた。教育委員会で分館主事を出しているが、公民分館長は、教頭がやっているところもあるし、運営委員会で決める。分館長は、任期2年で、運営委員は、民間の人がボランティアで行っている。公民分館は、建物がなく、学校の空教室であったり、学校のコミュニティールームの2、3教室を地元が管理したり、地区会館を有料で使用したりしている。予算は、70万から80万円は、その地域で使える助成金とし、人口割りで支出している。
4.行財政システム改革の取り組みについて(兵庫県宝塚市)
 宝塚市における行財政システム改革の取り組みを企画財務部行財政改革室行財政改革担当官より説明を受けた。これまでの経過としては、平成8年3月に行財政改革大綱を策定して平成11年5月に行動計画を作成した。平成12年度末時点で141項目の改革目標の内、約6割を達成したが、約3割の一部実施、約1割の未着手項目があった。5年間の効果額は、約88億6800万円となり、当初目標の78億1200万円を上回ったが、依然として市の財政は厳しい状況にあり、民間活力の導入等の項目に際だった進展が得られなかった。そこで、従来の減量型行財政改革は、手法として限界に来ていると判断し、行政の仕組み自体を改革する「行財政システム改革マスタープラン」を平成13年度から平成17年度にかけて策定した。「3つの健全化を7つの改革で」と銘打ち、全ての改革は、住民に対する情報公開から始まるとした。改革項目として、@行政評価システムの構築、A財政システムの改革、B行政みずからの改革、C外郭団体の経営健全化、D情報化の推進による行政サービスの向上、E協働のまちづくりの推進、F環境配慮型社会への変革を掲げた。そして、行財政システム改革アクションプランを策定した。アクションプランは、行財政システム改革の面と行政事務の改革、改善の面の両面から、各部で主体的に取り組む具体的な行財政システム改革の実行計画であり、言い換えれば、各部の決意表明とも言えるものである。アクションプランの盛り込まれた各項目は、毎年度取り組みの成果を総括する中でローリング形式で次年度以降の取り組みを考えていくものである。そして、さらなる推進体制の構築を目指し、都市経営会議と宝塚市行財政システム改革推進委員会を立ち上げた。都市経営会議は、宝塚市庁議設置規程により設置され、システムの重要施策について審議し、決定するための庁内組織で、特別職及び部長で構成し、市長が主宰する。宝塚市行財政システム改革推進委員会は、市の行財政システム改革全般にわたり、都市経営的観点から改革的再構築を行い、改革を行うための建設的な助言及び提言を市長に行う。メンバーは、21名(経済界1名、学界2名、法曹界1名、人事組織専門家1名、団体代表6名、公募市民10名)であり、宝塚市行財政システム改革を提言した。それを受けて財政構造改革として、平成14年10月、財政計画の見直し、平成15年度から平成17年度までの3年間の財政構造改革数値目標を77億7600万円とし、平成19年度に収支均衡を図ることを掲げた。さらに、平成15年6月と平成16年3月に財政計画を見直し、財政構造改革数値目標を再設定(21億8400万円の追加)した。

5.市民自治のコミュニティについて(兵庫県宝塚市)
 宝塚市のコミュニティ政策取り組みの背景として、昭和30年、合併により人口4万の宝塚市が誕生したが、阪神等に便利な立地で人口急増し、昭和60年頃に20万人(現在22万)を越えた。もともと村落、ムラ社会だったところの全国から、急激に大勢の人が住み着き、新旧混在や開発単位に町が形成されると、新旧の意識や老若男女多くの人の意識や考え方の違う人達で混乱し、活動的市民等から新たなコミュニティ政策待望論が沸き上がった。平成3年、新政策を掲げた新市長によりコミュニティ政策がスタートすることになる。人口急増・都市化と新しいライフスタイルから次のような新コミュニティ政策が求められた。宝塚市の基本的考え方と初動期の取り組みとして、行政は、市民主体尊重での活動助成、小学校区コミュニティ形成と自治会の充実を基本的な考え方とした。平成5年より様々な地域で新旧市民間の問題や老若男女の様々な価値のぶつかる激論が数年にわたり起こり、それは全域の民主化運動でもあった。しかし、市民はそれぞれ地域にあった独自の方策を加え、市民が主体(事務局等も自前)50〜200人規模の市民代表制の委員構成等により、平成11年7月までに順次設立総会を開催し、市内全域に20の新しいコミュニティ「まちづくり協議会」が次々誕生し、主体的・自立的運営に乗り出すことになっていった。

                    

                市民自治のコミュニティにつ いて講演する渡辺宝塚市長

 その結果、結局市全域には、@平均200〜300世帯単位の自治会、A小学校区単位の「まちづくり協議会」、B同協議会3〜4つを一括りの単位とした7つの範域に住民代表による連絡会議という新しいコミュニティが構築された。そして、ブロック別連絡協議会(地域創造会議)、小学校区、まつづくり協議会といった基本のコミュニティが出来上がり、宝塚市の3層基本ネットワーク、つまり、大中小エリアの三層の新しい総合的市民ネットワークが完成した。また、まちづくり協議会には、新しい人材が求められ、公募による新人材1000人の発掘を試みた。市の呼びかけによる平成4からの「女性ボード」や平成9年からの「課題別100人委員会」(健康、安全安心、花・緑、道、水などのテーマ)という公募等市民によって、新しい人材約千人以上が発掘され、コミュニティ活動との連携が深まって行った。

□終わりに
 大阪府豊中市での電子自治体の取り組みについて市民の市に対する信頼が大事でシステムに対するセキュリティーの重要性を感じた。また、GISを使用した地域安心安全情報システムが画期的であり、市民に即座に情報を伝えることができる。電子入札の導入については、安城市も導入する予定であるが、三河地方では、安城市が先進的であるので近隣の自治体にも働きかけて協同で使用できるようになればよいと感じた。公民館のあり方については、公民館分館が地域のコミュニティの再生の役割を担い、とても効果があると思う。兵庫県宝塚市の行財政システム改革の取り組みについて、真剣に取り組んでいる姿がとても良く分かり、市民の理解も得られるのではないかと感じた。市民自治のコミュニティについてでは、永年取り組んできたことを今の市長が受け継ぎ、成熟しつつあるように感じた。渡辺市長自ら説明をしてくれて、思いがよく伝わり非常に良かったと思う。